羽生竜王、王座戦出場記録が26で途切れる

第62棋王座戦本戦トーナメント第一回戦が羽生善治竜王ー深浦康市九段の一戦が行われ、後手の深浦九段が114手で羽生竜王を下し、本戦二回戦進出を決めました。羽生竜王は連続26期続いていた王座戦への出場記録が途切れることにになりました。

四半世紀の間、王座戦は羽生善治竜王の棋戦でした。

無敵の強さ19連覇&19連勝

(1)数字で見る「第1次羽生王座」
各棋戦で満遍なく活躍している羽生善治竜王ですが、王座戦での強さは群を抜いていました。王座を初めて獲得したのは1992年に当時の福崎文吾王座から王座を奪取して以来、王座の防衛を続け、ついに19連覇を果たしました。それまでの連覇記録は大山康晴15世名人の13連覇だったのでその記録を大きく超えました。さらにストレートでの防衛も多く、2004年の52期から2010年の58期にかけては番勝負で負け無しの19連勝を果たしました。当然ながらタイトル戦は予選と本戦の戦いを勝ち残って来たその時最も勢いのある棋士が挑戦してくる舞台です。その挑戦者を相手にこの成績は驚異的です。19連覇の間の成績は57勝10敗ということでこれまた驚異的な成績です。
(2)王座戦でのエピソード
①藤井竜王との竜王戦と王座戦の12番勝負
2000年の第48期王座戦では当時竜王の藤井猛九段が挑戦者に名乗りを上げました。同時期に行われる竜王戦では羽生5冠が挑戦者となり、羽生ー藤井12番勝負として話題になりました。結果は羽生王座が3勝2敗で王座を防衛し、藤井竜王が4勝3敗で竜王を防衛。それぞれがフルセットでお互いのタイトルを守る形になりました。藤井猛竜王の「羽生先生もお疲れのようなので楽にしてあげます」という発言が話題になりました。
②前王座も19連覇?
羽生善治王座が最初に王座戦で戦った福崎文吾九段は、自ら前王座と名乗り、解説会の時などにキャッチフレーズとして使っていました。羽生善治王座の連覇記録が途切れたときには「前王座を失陥した」と起点をきかせてネタにしていました。
③山崎八段が怒られる?
山崎隆之当時七段が挑戦した2009年の第57期王座戦の第二局で事件が起きました。均衡の保たれていた対局で突如山崎八段が投了を告げました。関係者も驚いた様子で、当時の観戦記を執筆していた梅田望夫さんは「羽生王座はまだ勝負を続けたくて、これからというときに投げられてしまってとても不機嫌そうであった。と回想しています。しかし当の羽生王座は怒っていたわけではなく「終局直後は空気が重いのでちょっとした発言が重くとられてしまったのではないか」と振り返っています。とにもかくにも山崎隆之七段はヒヤヒヤだったことでしょう。

王座失冠後も1期で復帰

(1)最強の刺客・渡辺明が王座戦に再登場ストレート勝利で羽生の王座20連覇を阻止する。
19連覇を果たした羽生善治王座ですが、最強の刺客が現れます。渡辺明竜王です。王座戦は羽生の牙城と化していましたが、竜王戦での対羽生戦の勝利で自信をつけた渡辺竜王は王座戦の羽生王座相手にも動じず、3連勝のストレートで王座の奪取を決めました。この頃は羽生ー渡辺のカードは完全に渡辺当時竜王が押していました。

(2)王座失冠の翌年、渡辺王座にリターンマッチを挑む
19連覇が途切れた羽生竜王ですが、翌年にすぐに王座戦への挑戦権を獲得しました。このカードで印象的なのが第4局の△6六銀のタダ捨てです。劣勢の局面で持ち駒の銀をタダで捨てるという鬼手を繰り出しました。厳密には先手に勝ち筋があったようですが、時間が切迫していた渡辺明王座は、やむなく千日手を選びました。その後指し直し局が行われその対局は羽生竜王が勝利し、リターンマッチを制しました。

伝説の一手。銀のタダ捨てで劣勢の将棋を千日手で逃れた

(3)若手の挑戦を退け続ける
王座復位後の羽生善治王座は、続々と若手の挑戦を受けることになります。中村太地、豊島将之、佐藤天彦、糸谷哲郎など若手の精鋭の挑戦を受け続けましたが、それをことごとく跳ね返してきました。特に中村太地六段戦、豊島将之七段戦、佐藤天彦八段戦はいずれもフルセットの死闘を制しての防衛となりました。

中村太地七段に敗れる

王座復位語5連覇を果たした羽生王座でしたが、昨年の第65期王座戦ではついに中村六段に破れて王座を失ってしまいました。さすがの羽生王座も2016年頃から「毎回の対局でベストのパフォーマンスを維持するのは難しくなってきた」と漏らすようになり、徐々に体力的な限界も感じているようです。また昨年の王座戦は渡辺明竜王に挑戦した竜王戦と同時期に行われていたため、中々王座戦に集中するような環境ではなかったのかもしれません。互角の局面で投了をしてしまうなど精彩を欠いた内容となっていました。

王座戦第1局の投了図。互角の局面で投了してしまった。

この26年間の王座戦は羽生の王座戦という棋戦でした。今後はどんな勝負が繰り広げられるのか楽しみです。

 

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